奥入瀬渓流の夏
桟橋の連絡船たちを何度も振り返りながら、後ろ髪をひかれる思いで青森駅の改札口を出ました。駅前はすでに夏の日差しに包まれており、本日も暑くなりそうです。
これから9:30発の十和田湖ゆきJRバス『みずうみ8号』に乗って、奥入瀬渓流を訪ねます。渓流を訪れるのは2回目ですが、前回は真冬で滝という滝はすべて凍りついていて、それはそれで深閑としており良かったのですが、渓流美を楽しむにはいささか物足りない感じがしていました。みずうみ号は座席定員制で、乗車には、みどりの窓口でバス乗車券200円を購入する必要があります。奥入瀬渓流の入り口の『石ケ戸』まで約2時間バスに揺られました。
途中、3ケ所で休憩があり、1回目の『雲谷スカイランド』は青森湾展望所として知られます。少し遅れているということで、停車時間わずか3分でした。それでもバラバラと駆け降りた乗客たちはいっせいに写真を撮り合います。なるほど青森平野が望め、もっと視界がよければ津軽半島から下北半島までうかがえるとのことでした。
2回目の休憩地は『かやの茶屋』です。ここは十和田国立公園の始まりの地で、標高540メートルの萱野高原にあります。ここでは『長寿のお茶』として有名なお茶が無料で飲むことができ、1杯飲むと1年長生きし、2杯飲むと2年長生きし、3杯飲むと死ぬまで長生きする、という各地によくある俗説が伝わります。
3回目の休憩地は、『酸ヶ湯温泉』です。標高900メートルにある温泉地で、国民温泉の第一号であり、男女混浴の総ヒバ造りの『千人風呂』で有名です。各種効能から湯冶客が多く、一般宿泊以外に湯冶客用宿泊棟が設けられています。県内有数の豪雪地としても有名で、最近では5メートルの積雪を記録したこともあるそうです。11:46、みずうみ8号は『石ケ戸』に到着しました。ここから『子の口(ねのくち)』までの約9キロを奥入瀬渓流に沿った遊歩道を歩くことにしました(つづく)。

 
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