別府地獄めぐり
翌日、5時起床でレストランに朝食にいきました。
せっかく個室をとっていたのですが、ブルートレインに乗ったときもそうですが、夜行列車にしろフェリーにしろ、ベットで夜眠るのはもったいないという変な考えが昔からあって、とにかく車窓(今回は船窓?)を眺めているのが好きです。漆黒の闇のなかに瞬く光芒をぼんやりとながめていると時間の経つのを忘れるからです。
朝食をすませて部屋に戻るとフェリーの従業員さんが早くも部屋の鍵を回収しにやってきました。船は定刻の早朝6時55分に別府観光港に到着しました。正直あと一時間ほど船でゆっくりとしていたいです。
天候は晴れでした。接岸した船の写真を撮影していると、お猿さんで有名な『高崎山』が見えていました。釣り糸を垂れている人の後ろ姿が印象的だったので一枚写真をとりました。今日はここからレンタカーを借りて、せっかく別府にやってきたのだからまずは『別府地獄めぐり』をしようと思いました。
別府地獄めぐりは、日本一の湧出量と源泉数を誇る、別府温泉の自然に湧き出た温泉の源泉をもとにした奇観の観光地で、『龍巻』『血の池』『白池』『鬼山』『かまど』『山』『鬼石坊主』『海』の合計8ケ所の『地獄』があります。共通券があって2000円ですが、ネットで地獄めぐりからのホームページで『割引券』を印刷して窓口に提出するとひとり1割引きになります。

龍巻地獄・血の池地獄
別府港から上がってゆくと、いちばん最初の地獄が『龍巻地獄』です。
ここはいわゆる『間欠泉(かんけつせん)』で、一定の間隔を置いて熱湯が噴出するものです。窓口に信号機が設置してあって、『ただいま噴出中』を示す『緑』のランプが点灯していました。これはチャンスと思い『共通券はあとから買いますので』と声をかけて見学しました。これを逃すと休止期間に入り、あと30分くらいは再噴出を待たないといけないからです。
すぐ隣には『血の池地獄』があります。ここは日本最古とよばれる天然の地獄で、赤い粘土により、赤色の池があります。すごい熱気を感じます。自販機があり、ユニークな『地獄の鬼塗装』を施されていました。このあと『かまど地獄』に移動しました。

かまど地獄
『かまど地獄』は昔、地獄の噴気で氏神『竈門八幡宮(かまどはちまんぐう)』の大祭で御供飯を炊いた習わしがあったことから名づけられたもので、入り口にかまどに乗った鬼の像が立っています。一丁目から六丁目までのさまざまな湯の池の地獄があり、さながら地獄のテーマパークのようです。泉温は90度とのことです。なかでもポコポコと噴き出す『熱泥坊主』は見ていて面白いです。
『砂蒸し足湯』では韓国の人たちが大韓民国の国旗を掲げて韓国語で高らかに歌を合唱していました。九州は地理的に韓国に近いせいかこのあとも韓国からやってきた観光客の人たちを大勢みました。

鬼山地獄・白池地獄
この付近はたくさんの『地獄』が固まっているのでまわりやすいです。つづいては『鬼山地獄』です。鬼山地獄は別名を『ワニ地獄』とよばれ、大正12年に日本で初めて温泉熱を利用し、ワニの飼育を開始しました。クロコダイルやアリゲーターなど世界のワニ約80頭が飼育されているそうです。いかに屈強なワニたちといえどもそのままの湯温では熱すぎて死んでしまうのでお湯を30度ぐらい水で下げて使っています。泉温は99度でもうもうと上がる湯けむりの柵に『危険』の看板があります。名物は『地獄蒸し料理』です。隣接して『おにやまホテル』が建っています。
『白池地獄』ではここも温泉熱を利用した、施設があり『熱帯魚館』では有名なアマゾンの人食い魚『ピラニア』や同じくアマゾンの大王魚、淡水魚の中では世界一大きい『ピラルク』か飼育されています。
ちなみに『アマゾン』というと仮面ライダーシリーズ第4作の『仮面ライダーアマゾン』を思い出します。当初の必殺技は歴代ライダーの中では『キック』ではなく、噛みつきや引き裂き攻撃など、おそらくピラニアを意識したものだったと思いますが、あまりにも地味で単調なため、のちにパンチやキックも取り入れられたそうです。年がバレますね。

山地獄・海地獄
『山地獄』はその名のとおり、山のいたるところからもうもうたる噴気が上がっているところで、泉温は90度。山に近づくととても暑いです。ここでも温泉熱を利用してカバやサル、フラミンゴやアフリカゾウなどが飼育されています。
『海地獄』は別府地獄の中でも最大で、美しいコバルトブルーの色をしています。海を連想させ、思わず手をつけてみたくなりますが、泉温はなんと98度もあって大火傷は必至です。入り口の池にハスの花が咲いていて、芥川龍之介の小説『蜘蛛の糸』を思い出しました。極楽の蓮池の下は地獄、という設定そのものですね。
ここでも温泉を利用して南米原産の『オオオニバス』が栽培されています。
よく子供を乗せた写真で知られていますが、今回見るかぎりでは、そこまで大きく育ったものはありませんでした。(つづく)

 
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