「さんふらわあ」で九州へ
かねてよりフェリーでのんびりと九州へ行きたいと思っていました。ようやくその機会があり、2010年6月5日(土)〜6月7日(月)に『さんふらわあ』で行ってきました。
さんふらわあというと、白い船体の側面に水平線から昇る太陽が描かれているのが特徴で、日本のフェリーの代名詞のようになっています。昔のCFで『さんふらあわ、太陽にまもられて行こう〜』のフレーズがいまでも強烈に印象に残っています。
今回、乗船したのは『さんふらわああいぼり』で1997年12月に就航しました。
9245トンで全長153メートル、幅25メートル、航海速力は22.4ノット(時速約40キロ)、旅客定員は710名です。トラックと乗用車をともに100台ずつ積載することができます。
誕生からすでに今年で13年目を迎え、姉妹船『こばると』とともに大阪〜別府航路に就航しています。
当日、18:00に大阪南港ATCのりばから乗船しました。出航は19:05ですが、すでにレストランが開いていて、さきに夕食をとることにしました。レストランはバイキングではなくいわゆる『カフェテラス方式』で、一品ずつとっていって最後にレジで精算するというものです。早かったせいかまだ閑散としていました。
やがて時間となり、船は静かに南港を出航しました。
デッキに出てみると、暮れかけた空にひときわ高くそびえたつ『WTCコスモタワー』と銀色のドームの『なにわの海の時空館』がだんだん遠ざかってゆきます。明石海峡大橋の通過までひとまず部屋に戻りました。僕の部屋は『デラックスシングル』でいわば特等洋室にあたります。温水洗浄便座機能のトイレとユニットバスつきで、シャワーの圧力も良好でした。ほかに備品として、バスタオル・フェイスタオル・ドライヤーに洗面セットと電気ポットが備わっています。カーテンを開けるとオーシャンビューです。まもなく船内放送が始まりました。『みなさん本日はさんふらわあ「あいぼり」にご乗船いただき誠にありがとうございます。船長の「三木」です。本船はこれより、まもなく明石海峡大橋を通過し、瀬戸大橋、(しまなみ海道の)来島海峡大橋と通過いたしまして、別府観光港には明朝、6:55に到着致します。大分地方の天候は晴れ、海上は平穏で、おおむね順調な航海ができると思います。狭い船内ではございますが、到着までごゆっくりとお過ごしください』と挨拶がありました。

明石海峡大橋通過
案内所で、明石海峡大橋の通過時刻を20:15と聞いていたので、少し前に部屋を出て、後部デッキへと移動しました。船はちょうど神戸沖へと差し掛かったところで、進行方向右手の真正面にライトアップされた神戸ポートタワーと神戸メリケンパークオリエンタルホテル、海洋博物館、摩耶山の中腹に白く輝く『神戸市章』などがハッキリと見えました。『橋はどこだ?』と思って見渡すと右手斜め前方にイルミネーションに彩られた『明石海峡大橋』が空中に弧を描くように浮かんで見えました。別名『パールブリッジ』とはよく言ったもので、船がだんだんと近づくにつれ、本当に真珠の首飾りのような美しさです。やがて船がいよいよ大橋の真下をくぐるときなどは手を伸ばせば届きそうな近さでした。
参考までに紹介すると、瀬戸大橋23:50,来島海峡大橋2:05というのが他の本四架橋の通過時刻です。船内には大浴場もありますが、部屋にはユニットバスとはいえ、風呂があるので持参の入浴剤を入れ、のんびりと湯船につかりました。
夜中、何度か目覚めてカーテンを開けて外をながめていると、深夜というのに往来する船の多さに驚きました。まさに海の銀座といった感じで、航海灯をともした大小さまざまな船とすれ違いました。いくら橋が架けられても瀬戸内海はいまでも重要な海の交通路なのです。(つづく)

 
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