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1月14日の早朝、1泊した千葉駅前のビジネスホテルをあとに、JR内房線の普通電車で、館山駅を目指します。電車は東京湾を右手に眺めながら南下し、途中、東京湾を横断して久里浜と金谷を結んでいる『東京湾フェリー』が見えました。館山駅には約1時間弱で到着し、ここからJRバスで房総半島最南端の『野島崎』に向かいます。
野島崎は房総半島の最南端という知名度のほかに、この沖を航行する船舶にとって『魔の野島崎沖』としても知られます。発達した低気圧の通過によって巨大な『三角波』(ビッグウェーブ)が発生しやすいからで、これに直撃されると漁船はいうまでもなく大型のタンカーまでもが船体を分断されて沈没の憂き目にあいます。かつてNHKの人気番組『プロジェクトX・挑戦者たち』でここで遭難した貨物船とそれを助けたタンカーの救助劇があったような記憶かあります。
野島崎灯台に立つとアフリカ産の黒みかげ石で作られた『房総半島 最南端之碑』が立ち、周辺の荒涼とした景観とあいまって最果ての雰囲気が漂います。野島崎灯台は日本の洋式灯台の歴史としては、三浦半島の観音崎灯台についで二番目に古いものです。明治二年(1869)にフランス技師ウェルニーの設計により建てられました。しかし大正十二年の関東大震災で倒壊してしまい、現在のものは大正十四年(1925)に再建されたものです。
灯台に登ったりして野島崎の景観をたのしんだあと、ふたたびバスで安房白浜経由で『白間津お花畑』へ行きました。南房総地方は花栽培の盛んなところで、ひと足早く春の『花つみ』が楽しめる場所です。キンセンカや菜の花、あるいはポピーが咲き誇り、海岸沿いの遊歩道を歩くと、花と海の両方の景観が楽しめます。お花畑のなかに、小さな灯台がポツンと立っているのには、なにか不思議さを覚えました。
白間津(しろまづ)漁港にかかる全長600メートルの『南房千倉大橋』の展望台からは太平洋を一望できます。橋は、ブロンズ像やタイル絵で飾られてアートな雰囲気でした。
千倉駅から館山駅に戻り、そこから内房線を走るのエル特急『さざなみ』号で東京駅に戻りました。今日は結構歩く距離が長かったので曇りがちとはいえ天候に恵まれたのは幸運でした。(つづく)

 
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