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銚子電鉄の犬吠駅でおりて、犬吠埼を目指します。徒歩で約10分の距離です。犬吠埼は関東平野の最東端の岬で、目前には広大な太平洋が広がります。またこの岬は本州で一番先に日の出がみられることで知られています。
地名については諸説がありますが、著名なのが源義経の愛犬『若丸』というのがいて、岬に置き去りにされてしまい、7日7晩主人を慕って鳴き続けたことに由来する、というのが説があります。なにか泉佐野の犬鳴山の伝説を連想させるものがありますね。
この岬には、日本灯台の父と呼ばれたイギリス人『ブラントン』の建てた『犬吠埼灯台』があります。世界灯台100選、あるいは日本灯台50選に選ばれている有名な灯台で、光達距離は約36キロ、塔高31.3メートルは日本第二位の塔高を誇ります。
第二次大戦中は米軍の艦載機の機銃掃射により一部損壊しましたが戦後いち早く復旧し、1874年(明治7年)の完成からじつに約130年以上の風雪に耐えて現在に至っています。
近くの九十九里浜にちなんだ99段の螺旋階段を上がって灯台に登ると、どこの灯台でもそうですが、彼方の水平線に地球の丸さが実感できます。この日はあいにく天候が悪く、風も強かったため早々に灯台から引き上げました。
灯台を後にし、『東洋のドーバー』と呼ばれる『屏風ケ浦』に向かいました。屏風ヶ浦は、海岸沿いに高さ40〜50メートルの断崖絶壁がつづきイギリスのドーバー海峡の白い崖を思わせる景観です。ここらでは有名な心霊スポットでもあります。
しかし進むに従いにわかに風雨か強まり、靴にも浸水し、ついには折りたたみ傘も吹き飛ばされる事態になってしまい、これ以上の前進は不可能と判断し、まだまだ遠くではありますが、カメラのズームレンズを最大に使って機器が濡れないように気をつかいながら写真だけは撮りました。
ボトボトになりながらなんとか『地球の丸く見える展望台』にたどり着きました。下総台地の愛宕山(73.6メートル)の頂上にある標高90メートルこの展望台からは、北は鹿島灘から筑波山をのぞみ、さらに太平洋の大海原をへて、西は屏風ヶ浦から九十九里浜まで360度を見渡せるそうですが、あいにくの天気でわずかに近くの犬吠埼の灯台近辺と屏風ヶ浦あたりまでを視界に収めるだけでした。
ここでホットコーヒーを買い、濡れた身体をしばし温めました。
しかし、靴の濡れ具合だけはいかんともしがたく、このあとふたたび銚子駅に戻ると、駅前商店街の靴屋さんで新しい靴を購入し、どうしようもなく濡れた靴を破棄しました。思わぬ出費と以前、会社のみんなと済州島に遊びに行ったときの靴との思わぬ別れに心か痛みました。(つづく)

 
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