建築は凍れる音楽
円山公園を過ぎて、『ねねの道』の入り口で、右手に高さ36メートルの鉄筋コンクリート造りの『祇園閣(ぎおんかく)』が見えてきました。この建物は、高閣の形が祇園祭の鉾を表すことからその名も『祇園閣』と名付けられました。
ホテルオークラなどで知られる大倉財閥の創始者『大倉喜八郎』が『京都には金閣・銀閣があるのに銅閣がないのはおかしい』という思いで別邸『真葛荘』の一部として昭和3年(1928)に建てられたものです。現在は、大雲院の所有で普段は非公開ですが不定期の特別公開では楼上に登ることができます。東山を一望するその眺望は絶景とのことです。
『ねねの道』に入ると、急に人混みが激しくなってきました。豊臣秀吉の正室『北政所(きたのまんどころ・本名ねね)』が開創した『高台寺』と道をはさんで同じく『ねね』が余生を送った終焉の地『圓徳院(えんとくいん)』があるからで、ともにライトアップされています。どちらもすごい混雑ぶりでしたのでスルーしました。
東山のシンボルは『法観寺(ほうかんじ)』の『八坂の塔』です。この塔のライトアップはとても見事でした。その荘厳さは、ドイツで昔から使われているフレーズの『建築は凍れる音楽』そのもので、漆黒の闇の中に金色のオーラを発しながら燦然と輝いているように見えました。産寧坂、清水坂と上がっていくといよいよフィナーレの『清水寺』です。
ここはぜひ中に入って清水の舞台を見たかったのですが、ここもやはりすごい人で、入ったら最後、今日中に帰れなくなる怖れがあったので入り口で断念しました。ブルーのレイザービームが夜空を盛んに照射していました。
清水寺からタクシーを飛ばして京都駅にもどりました。車を降りると、『京都タワー』のライトアップが目に飛び込んできました。灯台をイメージして建てられたという姿ですが、今回は、近くの東本願寺にちなんだ『お東さんのローソク』という別名のほうがピッタリだと思いました。(おわり)
大阪府 S様

 
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