積丹岬
岬の灯台を目指して歩いてゆくと右手の海岸線の谷間に目的地の『入舸』の集落が見えてきました。積丹岬に立つ『積丹出岬灯台』は紅白に塗り分けられた灯台です。標高約140メートルの地点に1965年(昭和40年)に建てられたもので、光達距離は23海里(約40キロ)です。ススキ越しに眺めたその姿はなんとなく秋を感じさせてとても絵になる風景です。灯台付近からの眺望は絶景で、俗に『シャコタンブルー』と呼称される透明度に優れた日本海と島武意海岸の奇岩が一望のもとです。
灯台から遊歩道は下りになり島武意海岸へと続きます。島武意(しまむい)海岸は『日本の渚100選』にも選出された著名な海岸で、積丹半島を紹介するパンフで必ずといっていいほど登場します。土地の人は別名『裏摩周』と呼んでいるほとで、そのあまりの美しさに時間の経つのを忘れ思わず見とれてしまいました。入舸のバス停に向かうため短いですが真っ暗なトンネルを抜けると駐車場にでました。ここまで約1時間30分のウォーキングでした。計画ではここからバスで余別まで出て、現在は航路廃止になっている積丹海上観光の遊覧船に乗って、有名な『神威岬』を船上から眺めつつ西海岸の岩内の町に行くつもりでした。
ところが待てど暮らせどいっこうにバスがやってきません。時刻表より20分は早く着いたので先に発車することなどあり得ません。このままでは船の時間に間に合いそうもないのでタクシーを呼ぼうと公衆電話をあたり血眼になって探しましたが、ひなびた漁村にはそれさえも全然見つかりません。結局約1時間遅れでようやくバスがやってきました。しかし今頃来てもらったところでとうぜん船には間に合いません。練りに練った計画がご破算になった腹立しさから『なぜこんなに遅れたのか』と、なかば詰問口調でバスの運転手さんに問いただしました。すると運転者さん曰く、『小樽博の交通渋滞に巻き込まれてしまい二進も三進もいかなかったよ』とのことでした。うーん残念無念。
もはやあきらめざるを得ないので、仕方なくバスで小樽駅まで戻ることにしました。
小樽からは14:49発の函館ゆきの42列車に乗りました。札幌始発のこの42列車は夜行普通の函館行き46列車の『昼行版』ともいうべき存在で、えんえん約8時間かけて函館に到着します。ニスの効いた旧型客車内はとんでもなく退屈な空間でした。ようやく函館にたどり着いたのは夜の21:45でした(おわり)。
大阪府 S様

 
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