旅行最終日、今日はかねてより行ってみたかった栃木県の『那須岳』に登ります。前夜宿泊した福島駅前の東急インをあとに早朝の福島駅に立ちました。ここから東北新幹線で新白河駅までゆき、そこから在来線に乗り換えて、黒磯駅までゆき、さらに黒磯から路線バスにのって、ロープウェイのある那須山麓駅にいくという行程です。福島からのった東北新幹線は、東海道・山陽新幹線の各駅停車の『こだま号』にあたる『あおば』号で新白河までわずか30分ほどの乗車でした。
ここから在来線の普通電車で黒磯までむかうのですが、ホームで待っていたこの電車は実に興味深いものでした。『419系』といい、今回の旅の始まりに大阪から乗ってきた夜行急行『きたぐに』に使われている583系寝台電車を改造したものなのです。夜行列車がつぎつぎと廃止されるなか寝台電車としての利用価値がなくなってしまったために、なかば強引に普通電車として改造したものなのです。車内の座席の写真ですが、そのまま下段寝台を収納して向かい合わせの座席タイプとしてあるのがよくわかると思います。二重窓ガラスの日よけのブラインドがあったところの空間には、なぜかかわいいミニチュアが置いてありました。現在この583系改造車の419系は北陸本線にわずか残るだけだと聞きます。新型車の置き換えのため急速に廃車が進んでおり、そう遠くないうちに姿を消しそうです。583系寝台電車の全盛時代を知る者としては、あまりにも寂しい幕切れです。
黒磯駅からは東野交通の路線バスに一時間ほど揺られて、那須山麓駅に到着しました。ここから『那須ロープウェイ』に乗って約4分間で標高1709メートルの山頂駅に到着しました。小さなロープウェイは団体客で込み合っておりました。現在は110人乗りの大型ゴンドラになっているようです。山頂駅に着くとなんともいえぬ硫黄の臭いが漂っていました。山の9合目にあたるここから見る那須岳の主峰『茶臼岳』(1915m)は、いまも盛んに火山ガスを噴出しており、立ち入り禁止区域もあります。遊歩道がいくつかあってわりと簡単に茶臼岳への登山も出来ます。ただし遊歩道の足元には火山礫がゴロゴロしており足をとられやすいうえ天候の急変も多いとのことで,それなりの装備があったほうがよさそうです。僕は茶臼岳周辺を回る一時間ほどのコースにしました。
異様な光景を満喫したあと、黒磯駅に戻り、ここから上野まで約2時間、新特急『なすの』に乗りました。電車は185系特急形電車で、JR東日本のみの保有車両です。現在は、伊豆への特急『踊り子』や『湘南ライナー』などで使用されています。新特急『なすの』は上野までガラガラでまるで赤字ローカル線の空気輸送列車のようでした。ちなみに新特急『なすの』は現在『おはようとちぎ』あるいは『ホームタウンとちぎ』に名称が変わっています。東京駅からは17:00発の『ひかり311号』で新大阪に戻りました。JR西日本所有の100系新幹線16両のいわゆる『グランドひかり』で中央部に2両の2階建てのグリーン席車両を組み込んでいるのが特徴です。今回はゼイタクにもこの2階のグリーン席利用で新大阪まで帰りました。2階席の窓側はさすがに展望がよく隣に誰も来なかったのでまさにゆったりと王様気分でした。(おわり)
大阪府 S様

 
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